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6)アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)

 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis、ABPA)は1952年にHinsonによって報告された疾患です。

 多くは気管支喘息や欧米では嚢胞性線維症の方に発症します。有病率は喘息の方の1-2%と言われています。

 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は吸入されたアスペルギルスの胞子が気道内で増殖し、その菌糸に感作されることによって起こり、アスペルギルスに対するT、V、W型アレルギー反応が発症に関係しています。ほとんどはAspergillus fumigatusによって発症しますが、それ以外のアスペルギルス属や他の真菌(カビ)でも発症が報告されています。

 症状は喘鳴、採血で好酸球(Eos)の増加、胸部X線での移動する浸潤影、アスペルギルスを含む粘液栓があります。病気が進行すると、気管支拡張や肺の線維化を伴い、進行性かつ破壊性の疾患です。

 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の診断は、臨床症状、胸部X線、血液検査、アレルギー検査などから行われます。Rosenbergが報告した診断基準を下に示します。

■診断基準

 ▼主要所見

  @発作性の気管支閉塞(喘息)

  A末梢血の好酸球増加

  Bアスペルギルス抗原に対する即時型皮膚反応陽性

  Cアスペルギルス抗原沈降抗体陽性

  D血清総IgE値の上昇

  E肺の浸潤影の既往

  F中心性気管支拡張

 ▼二次所見

  @喀痰中のアスペルギルスの検出

  A褐色の粘液栓、喀痰の既往

  Bアスペルギルス抗原に対するアルサス(Arthus)型反応陽性

 主要所見7項目全てが認められる場合には確実とし、6項目の場合にはアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の可能性が高いと判断します。

■病期

 1982年にPattersonらがアレルギー性気管支肺アスペルギルス症を5つの病期に分類して報告しています。

 T期:急性期

 U期:寛解期

 V期:再燃期

 W期:ステロイド依存性喘息期

 X期:線維化期

T〜V期を繰り返し、徐々にW期X期へ進行する場合がほとんどですが、T→W期へ急速に進行する場合もあります。

■治療

 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に対する治療の基本は全身性のステロイド治療になります。

 線維化を伴うようなX期になると、免疫力が低下して感染を繰り返し、ステロイドが効かないような不応期になることがあります。

 急性期の治療は、

 プレドニゾロン 0.5mg/kg/day×1-2週間

その後、隔日で6-8週間投与し、2週間ごとに5-10mgずつ漸減することが一般的です。その間、IgE値をフォローし、定期的に胸部X線、CTを検査します。肺機能検査をモニターすることも大事です。

 また、アスペルギルスに対する抗真菌薬イトラコナゾールなどのアゾール系抗真菌薬を投与することがあります。アゾール系抗真菌薬で血清IgE値の低下、喀痰中の好酸球の減少、症状改善、増悪回数減少を認めます。しかしながら、肺機能や画像所見の改善や維持には抗真菌薬は効果を発揮しません。

 したがって抗真菌薬の投与はステロイドの効果が十分でない方に限られるべきとされていますが、今後の検討が必要です。

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→6)アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)

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