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特殊な喘息 1)アスピリン喘息 成人喘息の約10%は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用により、使用直後から使用後1時間くらいの間に喘息発作を起こすことがあります。これを「アスピリン喘息」といいます。 前兆として鼻水、鼻閉を伴うことあります。ほとんど全ての酸性NSAIDs(インドメタシン、イブプロフェン、フェノプロフェン、ジクロフェナク、ピロキシカム、メフェナム酸、スルピリンなど)で喘息が誘発されます。これらの薬剤に共通の薬理作用のあるアラキドン酸シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用が引き金になると考えられています。 アスピリン喘息は「アスピリン」だけで喘息が誘発されるのではないことを覚えておく必要があります。 アスピリン喘息の尿中ロイコトリエンE4(LTE4)はアスピリン喘息でない人の数倍増加しています。またプロスタグランジンE2の吸入をしておくと、アスピリンの吸入による気道炎症が抑制されるだけでなく尿中ロイコトリエンE4の増加反応も見られなくなります。そのことから気道の過敏反応の発症にはプロスタグランジンE2の減少が重要と考えられています。 近年、アスピリン喘息には15-hydroxyeicosate-traenoic acid(15-HETE)の過剰産生やリポキシンA4の産生低下、ロイコトリエンC4合成酵素遺伝子異常、COX-2遺伝子の異常などが関係していると報告されています。今後、研究が進み、様々な発見があると思います。 アスピリン喘息は小児にはまれですが、思春期以降はしばしば発症が見られ、多くは30-40歳代に発症します。慢性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻ポリープを合併することが多く、診断の手がかりとなります。 NSAIDsによる発作の誘発が過去にある人は約6割に過ぎず、確定診断がなされない人がいます。 長期管理の薬物療法は一般喘息に準じます。急性増悪の治療には、「コハク酸エステル型」ステロイド薬(ソルコーテフ、サクシゾン、水溶性プレドニン、ソルメドロールなど)を急速静注すると喘息を増悪させることがあります。アスピリン喘息が否定できない時には、「リン酸エステル型」ステロイド薬(デカドロン、リンデロン、ハイドロコートンなど)を点滴で使用する方がよいと考えられます。内服はアスピリン喘息でも安全に使用できます。 アセトアミノフェンは安全との記載がありますが、1g以上の高用量になると誘発されることがあるので注意が必要となります。また、NSAIDsの中でも選択的COX-2阻害薬であるセレコキシブではアスピリン喘息にも常容量で安全に投与できることが確認されています。
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