1 喘息とは 1)喘息の管理 2)喘息の疫学 3)喘息の危険因子 4)喘息の予防 5)喘息死、喘息死ゼロ作戦 2 喘息の診断 3 喘息の治療 4 喘息発作 5 特殊な喘息 6 喘息関連トピック 7 喘息関連リンク 8 喘息関連文献 9 喘息ドットコムショップ ★ 喘息診療日記 ★ 当サイトへメール |
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特殊な喘息 3)運動誘発性喘息 ■病態 喘息の人の多くは運動後の喘息発作や気管支収縮を自覚したことがあります。 運動数分後に喘息発作や気管支収縮を起こすことを運動誘発喘息(exercise induced asthma、EIA)と呼びます。比較的激しい運動をすることで誘発されやすいとされています。 実際は水泳では起こりにくく、ランニングや短距離走の繰り返しで起きやすいことが分かっています。吸入する空気の温度が低いほど、また乾燥しているほど誘発されやすいです。 ■予防 運動誘発喘息の予防に有効な薬剤として @吸入β2刺激薬(SABA、LABA) A吸入クロモグリク酸ナトリウム(DSCG、インタール) Bロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA) とされています。追加する薬剤として吸入抗コリン薬、経口β2刺激薬、テオフィリン製剤が考慮されます。 運動誘発喘息の程度は気道過敏性や気道の好酸球性炎症と相関します。事前にβ2刺激薬を使用しないで運動を開始してしまい、症状の悪化や発作に至るケースがあります。そのために運動誘発喘息の管理には長期間薬剤で予防する必要があります。 ロイコトリエン受容体拮抗薬は副作用が少なく、管理として長期的に服用する薬剤として単剤で十分な効果を期待することができます。 ■アスリートにおいては 近年オリンピック競技者における喘息の有病率が増加しています。また、喘息を有したアスリートのメダル獲得率も高くなっていることが報告されています。 喘息を患っているアスリートでも、激しいトレーニングが可能であり、一流の成績が残せることが分かっています。 しかし喘息の治療薬には世界アンチドーピング機構(World Anti-Doping Agency、WADA)によって使用できる薬剤と、使用が禁止されている薬剤に分けられています。 日本では日本アンチドーピング機構でWADAの決めている「世界ドーピング防止規程」および国内競技のための「日本ドーピング規程」を示しています。 世界でも日本でもドーピング防止規程では、アドレナリン、エフェドリンなどの交感神経刺激薬(β2刺激薬を含む)やステロイド薬の使用は禁止されています。 しかし禁止薬剤に含まれていても、治療目的や投与経路で除外規定が設けられており、「治療目的使用にかかる除外措置(Therapeutic Use Exemptions、TUE)申請」と肺機能などの検査を示した「吸入β2作用薬使用に関する情報提供書」を提出して承認されれば「吸入薬」では使用が認められます。 またステロイド薬であったとしても、喘息の治療の基本となる吸入ステロイドでは事前申請は不要であり、ドーピング検査の公式文書に記録されるように申告すればよいことになっています。ロイコトリエン受容体拮抗薬やテオフィリン製剤はドーピング薬剤に含まれておらず、TUE申請なく使用可能となっています。 救急治療や急性の症状増悪で全身ステロイドを使用することは制限しておらず、使用後に速やかにTUE申請を行う。 禁止薬剤があり申請が必要なこと以外は、アスリートにおける喘息の管理は通常の喘息の人と同じです。日ごろからの喘息コントロールが重要であり、必要に応じて運動誘発喘息を予防する治療と行うことが大事です。
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