1 喘息とは 1)喘息の管理 2)喘息の疫学 3)喘息の危険因子 4)喘息の予防 5)喘息死、喘息死ゼロ作戦 2 喘息の診断 3 喘息の治療 4 喘息発作 5 特殊な喘息 6 喘息関連トピック 7 喘息関連リンク 8 喘息関連文献 9 喘息ドットコムショップ ★ 喘息診療日記 ★ 当サイトへメール |
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特殊な喘息 4)高齢者喘息 現在、高齢者喘息が非常に注目されています。その理由は喘息による死亡が問題となっています。 日本の喘息死亡は90年代では年間6000人ほどであり、2006年には年間3000人まで減少してきていました。 しかしながら喘息による死者の90%は60歳以上となっており、日本の喘息死を減らすためには高齢者の喘息死を防ぐことにつながっています。そのため、高齢者における適切な診断と治療が必要となっています。 ■診断 症状は高齢者でも反復性の呼吸苦、喘鳴、咳発作などは同様です。しかし若い人と比べて、寛解期の症状や肺機能の改善が不完全なことがあります。 特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、逆流性食道炎(GERD)などの鑑別されなければいけない疾患や合併症が多く、病歴を正しく聴取することが難しいこともあります。 その他にも高齢者、喫煙者の場合には肺癌や肺結核などについても検討されなければいけません。 運動に伴う症状や夜間の症状増加は喘息にも心不全にも共通する症状のために鑑別が難しいことがあります。 呼吸苦が起きている時に軽い場合には心不全であることが多く、痰の排出で軽快する場合には喘息であることが多いと考えられます。また2つを鑑別するのに血清BNP値(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の測定が有用となりますし、胸部X線写真でも心臓の拡大や肺のうっ血を認めることが診断の手助けとなります。 ■治療 実際の診療ではCOPDも考えた上で、抗炎症薬と気管支拡張薬などを検討されます。特に65歳以上の高齢者における気管支喘息とCOPDは約25%で合併しているとの報告があり、喘息の治療に加えて場合によってはCOPDに対して長時間作用型吸入抗コリン薬(スピリーバ)の併用を考えます。 いずれも禁煙は励行されますし、COPDの治療に対しても吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬の配合剤(アドエア250)が治療適応となっております。 高齢で認知症を患っている場合には、アドヒアランスの低下と吸入の手技が問題となる可能性があります。介助者が手技を助けることが大切になります。
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