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3)インフルエンザと気管支喘息

 インフルエンザは冬季には最も高頻度に見られる疾患の1つです。「突然の38度以上の発熱」が特徴的であり、主に関節痛や筋肉痛を伴うことが多い。

 いわゆる「かぜ症候群」は発熱はもっと緩やかに現れ、症状も鼻汁、咳などの上気道症状がインフルエンザの方が強いために鑑別に有用です。しかしながら同時期に流行することが多い嘔吐下痢症(ロタウイルスやノロウイルスなど)や38度以上の発熱をきたす扁桃炎や扁桃周囲炎と鑑別が重要になります。

 抗インフルエンザ薬にはノイラミニダーゼ阻害薬とアマンタジンがあります。ノイラミニダーゼ阻害薬はA型とB型のウイルスに有効であり、内服のオセルタミビル(タミフル)と吸入のザナミビル(リレンザ)があります。アマンタジン(シンメトレル)はA型ウイルスにのみ作用し、耐性ウイルスも出現しやすいために第2選択となることが多いです。

 抗ウイルス薬は発症後48時間以内に服用することにより発熱期間が短縮できます。治療薬なしでは約91時間発熱が継続するのに対し、抗ウイルス薬を内服すると約70時間に短縮するとの報告があります。

 インフルエンザに合併しやすい肺炎の原因菌として肺炎球菌、黄色ブドウ球菌があります。

 高熱が見られるインフルエンザでは対症療法として解熱薬を投与することが多いです。アセトアミノフェン(カロナール)の使用が第1選択となります。アスピリン系薬剤やジクロフェナクナトリウムはライ症候群やインフルエンザ脳炎、脳症に関係することが疑われるために投与は控える方がよいと考えます。

 気管支喘息を患っている人ではインフルエンザの罹患により重症喘息発作をきたしやすくなるので罹患中は喘息の管理を厳重に行う必要があります。ザナミビル(リレンザ)吸入は喘息発作の悪化の報告があるために治療薬としては推奨されません。

 慢性呼吸不全、慢性心不全の人では肺炎の併発がなくても高熱のみで酸素消費量を増大させ、低酸素血症や心不全の悪化を認めるため、十分な解熱コントロールが必須となります。


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