■「喘息ドットコム」〜喘息診療日記〜■
 


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喘息診療日記〜つれづれなるままに〜■

  ここでは日々の診療を行っていく中で感じたこと、思ったことを自由に綴って行きます。あまり気にしないで下さい。

2010.11.18

だんだん寒くなってきました。

 咽頭炎、気管支炎、肺炎・・・、流行ってきています。まだインフルエンザは診断していませんが、去年のことを考えると、そろそろ気を引き締める必要があります。

 去年のインフルエンザの時はだいぶ混乱しましたが、今年度は去年の経験を生かして対応していきたく思っています。

 ことに自分の外来に通院されている気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の方に関しましては、インフルエンザ、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を常に勧めさせて頂いています。

 本サイトをご覧の皆さまもインフルエンザをはじめ、呼吸器感染症には十分注意して下さい。

2010.11.14

 新しい5つ目の吸入ステロイド(ICS)製剤としてシェリングプラウ社から「アズマネックス」が発売されました。

 以前はあまり注目されていませんでしたが、適切な粒子径を持ったドライパウダー製剤(DPI)として注目されています。

 5つも吸入ステロイドがあって使い分けが難しい印象がありますが、ドライパウダー製剤、加圧式定量噴霧器のデバイスによる違い、吸入回数による違い、使用経験などで自分の中で使い分けをしています。

2010.11.11

 COPD(慢性閉塞性肺疾患)の方に対しての吸入薬のアドヒアランスについて研究された報告があります。

 ステロイド剤やβ刺激薬の吸入剤は気管支喘息やCOPDにおいて有効性が明らかになっています。

 内服や貼付薬と違って、アドヒアランスが低いことも分かっています。たとえば、内服で処方されたロイコトリエン受容体拮抗薬は吸入ステロイドの2倍アドヒアランスがよかったとの報告があります。

 吸入薬は使い方が難しかったり、複雑だったり、あるいは効果を実感できない場合があり、アドヒアランスが低い原因と考えられています。特に2種類の違う吸入薬が処方されている場合には約半数の方が使用法を間違えていることが報告されています。

 地域の薬局とも連携をして、効果的な服用法、吸入技術を習得することが、喘息やCOPDの症状を緩和、また喘息死の減少につながると考えています。

 ハンディーヘラーもクリックヘラーもディスカスもあったら大変ですよね。

2010.11.07

 喘息の標準的な治療である吸入ステロイド(ICS)と長時間作用型気管支拡張薬の併用療法ではコントロールできない喘息のことを「重症喘息」と言います。

 有病率は日本では5-10%と言われておりますので、少なくとも10万人以上の重症喘息の方がいると考えられます。

 このような重症喘息の方への治療は吸入ステロイドを最大容量に増やし、長時間作用型β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリンを2剤以上使用してもコントロールがつかない場合は、従来は経口ステロイドしか選択肢がありませんでした。

 近年、特定分子を標的とする薬剤(分子標的薬)が開発され、重症喘息の治療薬として期待されています。特に抗IgE抗体療法(オマリズマブ、ゾレア)は日本でも使える薬剤として注目されています。

 その他にも、抗IL-5抗体や抗TNFα療法や気管支熱形成術などが現在注目され、研究段階ですが今後の動向が気になるところです。

2010.11.1

 今年ももう11月になってしまいました。外は寒くて冬の訪れを感じます。冬になるといつも思い出すことがあります。以前、私は地域病院に勤めている時に気管支喘息で残念ながら亡くなってしまった方を拝見しました。

 当時、私は救急当直をしていましたが、コントロール不良の喘息の方が搬送されて、挿管、人工呼吸器管理とし、ありとあらゆる手を尽くしましたが翌日酸素化が保たれず非常に厳しい転機となってしまいました。

 今の時代になっても喘息で苦しまれている多くの方々がいて、さらにそれで命に関わることがあると身をもって思い知らされた出来事です。

 いつか喘息について、一般の方々にも医療関係者にもより理解、知見を深めるようにしようと決意したきっかけでもあります。

2010.10.28

 2010年9月のNew England Journal of Medicine誌に喘息に対するチオトロピウム(長時間作用型吸入抗コリン薬、スピリーバ)の有効性に対する論文が掲載されました。

 喘息のガイドラインにも吸入抗コリン薬に対する記載はありますが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)との合併症例で考慮するような形で書かれています。

 今後、難治性喘息への治療応用を期待しますが、現時点で「気管支喘息」に対する適応症ではないため、動向が注目されます。

2010.10.26

 気管支喘息とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の鑑別に悩むことがあります。もちろん高齢者で喫煙歴があって、肺機能で閉塞性換気障害があればCOPDで間違いないと思うのですが。呼気NOが高値であったり、CTで気腫化がなかったり、と頭を悩ます症例は数多いような印象があります。

 いずれの場合も、気管支拡張薬は効果がありますが、エビデンスの面で抗コリン薬(スピリーバ)なのか吸入ステロイド(フルタイド、パルミコートなど)なのかは非常に大切だと考えています。

 そのあたりが今後すっきり分かればな、と思って日々考えていたりいなかったり。

2010.10.21

 1週間に1回、某商社の診療所に診察に来ています。外来診察を続けていていくつか思うことがあります。

 一つは最近、寒くなってきてカゼが流行ってきたこと。

 診療所に来る社員は抗菌薬を希望されてくることが多いですが、ウイルス性の鼻炎や咽頭炎の場合には効果がほとんどなく、逆に下痢などの消化器症状の副作用があることからこちらとしては全員に出すわけにはいかないのですが。みんな欲しがります。

 もう一つは診療所にも簡易のスパイロメーターがあればいいのにと。

 普段は比較的大きな病院で働いているために、「咳が続く」とか「息苦しい」などの症状には「肺機能検査」は必須であると考えていますし、簡単に肺機能の評価ができます。

 今度、診療所の所長にお願いして、簡易スパイロメーターを導入してもらおう。

 最後に、社員がインフルエンザのワクチンを次々に打ち出したこと。

 自分はまだ打っていない。一番の感染リスクの高いのは呼吸器内科の自分だと思っていますが。去年も新旧インフルエンザの人を2〜300人は診断、治療したはずなのですが。

 若い社員がワクチンを先に先にと打っていますが。手洗い、うがい、マスクなど他にも大事なことはたくさんありますので、そちらも気遣って下さい。


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